2025年01月16日
医療現場では、応招義務は絶対に拒否できないと意識されていることが多いのですが、それは「虚像」にすぎません。
応招義務には「正当な事由」という例外がありますが、救急医療における「たらい回し」が社会問題になった歴史的経緯もあり、極めて厳格な解釈を採用する裁判例が有名になりました。しかし、それは救急医療の場面での解釈であり、通常医療で問題となる迷惑患者(モンスター・ペイシェント)のような事例では、患者側の非常識な主張は採用されません。近時の公刊裁判例でも、医療機関が敗訴している例は非常に少ないのが実情です。
令和元年には厚生労働省の通達が発出され、信頼関係が維持できない場合は「正当な事由」が認められ、応招義務が解除されることが明確にされています。
応招義務に適切な例外を認め、一定のラインで毅然と対応しない限り、ごく一部の非常識な「患者」の要求は、限りなくエスカレートしていきます。例外がほとんど認められないとのイメージ・固定観念には根強いものがありますが、「虚像」「誤解」に他なりません。その「虚像」が、医療従事者を疲弊させ、医療機関の経営を圧迫し、大多数の患者の医療アクセスを妨げているのです。
本セミナーでは、応招義務の例外の解釈を前提に、実務的なケースの検討を通して、適切な迷惑患者対策を解説します。
申込みフォーム: https://forms.gle/HZAC1GwX8DxK2ru86
題名 | :「応招義務の虚像と実像 ~モンスター・ペイシェント対策の実務~」 |
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講師 | : 弁護士 吉峯耕平 |
開催日 | : 2025年3月5日(水) 17:30~18:30 |
場所 | : 田辺総合法律事務所(有楽町駅3分)、Zoomウェビナー |
費用 | : 無料 |
受講特典 |
2024年に10年ぶりに改訂された書籍『病院・診療所経営の法律相談』(定価7370円)を、受講特典として1冊5500円(25%OFF)で販売いたします。 同書は、医療で問題になる法的問題を、実務的観点から広く解説しており、病院・診療所の現場において役に立つ情報が網羅されています。 目次(一部抜粋) 第1章 医師・医療機関 Q4 非営利性 第2章 医療機関の運営 Q9 院内感染、Q11 製薬会社との関わり方 第3章 健康保険 Q16 自由診療(保険適用外の診療)について、Q18 診療報酬以外に患者から徴収する金員 第4章 医療法人 Q22 医療法人の設立 第5章 情報管理 Q27 医療機関における診療情報の取扱いに関する規制、Q29 第三者からの診療情報の提供依頼 第6章 IT Q31 オンライン診療の実施上の留意点、Q33 ランサムウェア攻撃への対応 第7章 労働 Q35 労働時間該当性(宿日直,自己研鑽,オンコール等)、Q39 パワハラ・セクハラ 第8章 医療行為 Q49 医師による国内未承認医薬品の輸入に係る注意点、Q52 意識不明・未成年・認知症の患者、Q55 身体拘束、Q61 応招義務 第9章 患者トラブル Q63 迷惑患者対応、Q65 インターネット上の誹謗中傷への対応 第10章 事業承継・M&A Q74 事業承継に伴う患者情報の承継 |
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講師紹介 |
弁護士 吉峯耕平 麻布高等学校、東京大学経済学部卒、平成17年弁護士登録(第一東京弁護士会)。 企業法務、一般民事を中心とした実務に従事するほか、医事法、IT法に関する研究を随時発表している。統計的証拠の活用、ITと法制度の関係などに詳しい。 第一東京弁護士会総合法律研究所IT法部会元部会長、同医事法部会副部会長。(独)国立病院機構埼玉病院治験審査委員会・倫理委員会委員、国立国際医療研究センター臨床倫理委員会委員、デジタル・フォレンジック研究会「医療」WG幹事。 応招義務については、共著論文「応招義務と「正当な事由」の判断基準の類型的検討」(日本医師会雑誌、2016)があり、深い造詣を有している。 主な著書(共著共編を含む)として、連載「実践!ヘルステック法務」(Business Law Journal 2018~2019)、「次世代医療基盤法の構造と解釈問題」(論究ジュリスト2018年冬号)、「ワークショップ『医療情報ルールの再構成の方向を探る』」(年報医事法学 33号)、「医学系研究・治験と個人情報保護」『製薬と日本社会』(ぎょうせい、2020)等がある。 |
お問合せ(担当:毛利・清水)
TEL 03-3214-3811
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